こんにちは、個別教師Campライターの後藤です。
2月に入り受験本番がスタートしましたね。来る3日は都立中入試、2日は都立高推薦入試の合格発表がありました。入試には時事的な話題が問題として取り入れられる傾向があります。今や世界的なテーマとなっているSDGsは、人類みんなで取り組むべき課題なのはもちろん、受験勉強の一環としてもとても重要です。例えば2020年度の入試では、2020年7月にレジ袋有料化が行われた関係で、プラスチック削減がテーマとなった問題をたくさん見かけました。2021年度は東京オリンピック、パラリンピック開催の年でしたね。いまだ猛威を振るう新型コロナウイルス感染症や、東日本大震災から10年の年でもありました。本日はSDGsと受験問題について考えていきましょう。
SDGsとは
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)は、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組む普遍的なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。
17目標と169のターゲット
SDGsは17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。では目標の中身を少し見てみましょう。
この6つの目標を見ていると、貧困や飢餓、健康や教育、さらには安全な水など開発途上国だけの問題に感じるかもしれません。しかし実際には、日本の子どもの6人から7人に1人が貧困だと言われています。ジェンダー平等に関しても2020年12月に世界経済フォーラムで発表された数字によると153カ国のうち121位と、とても低い数字になっていて、これらの目標は先進国である日本の問題でもあります。
エネルギーの話、働きがいや経済成長、まちづくりなど、これらはまさに先進国である日本も密接に関係する目標です。
そして、気候変動の話、海の話や陸の話など、SDGsが世界でこれだけの広がりを見せているのは、「問題」として挙げられるものから、働きがいや経済成長までも踏まえた目標となっているからではないでしょうか。
次に、169のターゲットです。こちらは17の目標それぞれに、平均約10個ずつ存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。中身を見てみると「~半減させる」という具体的な目標もあれば、「~十分な保護を達成する」という漠然としたものも含まれています。そのため、169のターゲットのさらなる詳細版である具体的な数値目標が書かれた232の指標も策定されています。
どのように入試問題として組み込まれるか
例えばR2年度の都立立川国際中等教育学校、適性検査Iでは、保坂直樹さんの著書である「クジラのおなかからプラスチック」が題材となりました。身近なことから世界各国のことまで、さまざまな事実を取り上げ、プラスチックごみ問題の今とこれからを明らかにしている一冊です。ここから引用された文章全体の内容をふまえ、「プラスチックとわたしたちの生活とのかかわりの中でどのような問題点があり、その解決を目指す上でどのようなことを考えなければならないと思うか」を420~460字で書く課題が出題されています。
また、もっと直接的にSDGsを問題テーマとしている場合もあります。
R3年度の都立日比谷高校推薦入試の小論文課題では「SDGsの目標の相互の関連性を踏まえた上で、目標の一 つである「2飢餓をゼロに」という目標に対して「農地を増 やす」という解決策を考えるとき、これにより良い影響が及ぶと考えられる目標と、悪い影響が及ぶと考えられる目標をそれぞれ一つずつ示し、その理由を説明する。」といった形で出題されています。
自分の周りに目を向けよう
時事問題対策としてそれに向けたテキストもありますが、机に向かって行うだけが学習ではありません。時事問題は私たちの生活に関わってくる出来事です。それを知り、それについて考えることが何よりも対策になります。色々なことに興味を持ち、人と話し、教養を広げていきましょう。
後藤幸奈
【略歴】
個別ena校長を務め、中学受験では都立武蔵・三鷹・富士・立川国際・南多摩中、私立日大二中、明大中野八王子中、高校・大学受験では都立国立・立川・八王子東・国分寺高校、明治大学、法政大学、埼玉県立大学など多くの合格者を輩出。
高校時代は日本とアメリカで過ごし、ダブルディプロマを取得。
英語教育や帰国生入試を中心に幅広く受験や学習情報を発信していきます。