こんにちは、個別教師Campライターの西村です。
期末テストまで一か月ほどになりました。火曜のブログまで受験5教科の勉強方法について書かせてもらっています。さて今回は、『音楽』『美術』『保体』『技家』の「副教科」についてです。
受験5教科に比べると、一般的に学習法が「分かりにくい」「一夜漬け」「ノー勉で受けている」など、実に不当な扱いになりがちな実技4科ですが、そういった意識を変えて取り組んだ方がいいということを一緒に考えてみましょう。
受験における副教科の持つ意味は?
中学受験(検)・高校受験・大学受験において、副教科を試験科目として扱うことは、大学や高校の実技学科や、一部の学校に限られます。そういった面が生徒の皆さんに“実技教科(副教科)に対する意識”の低さをもたらしているのは言うまでもありません。
しかし、ご存知の通り内申(調査書)点では当然ながら必須教科ですし、全般的にいえるのは受験5教科同様に内申点として入試に関係しているということです。
では受験5科と副教科4科でどういった違いがあるか、いくつかの都県を例に挙げてみます。例えば、東京都(都立高校)の内申は、受験5科が単純加算(そのまま)であるのに対して、副教科は2倍になります。神奈川県では、9科全科が2倍。埼玉県も神奈川と同様です。
他にも兵庫県では、5科は4倍、4科は7.5倍のようです。つまり副教科は約1.8倍。鹿児島県では。5科は2倍、4科は20倍。つまり副教科は10倍の換算となるのです。
副教科の比率が高い自治体もあれば、同等の自治体もあります。皆さんがお住まいの都道府県でどのようになっているかは必ずご確認下さい。
定期テストに向けて
副教科が内申点にどうかかわるかが確認できたなら、対策です。副教科の成績評価は、実技はもちろんですが、ペーパーテストも大きな要素だからです。さらにペーパーテストとなると、学期に一度という学校が多いですから、それこそ一発勝負になります。
各定期テストで実施されるなら、「次の期末で挽回を!」という対策もありますが、なかなかそうはいきません。やや“大上段に構えた”ようになり恐縮ですが、結論からいうと、
・普段からノートにまとめておくこと
・テスト勉強の計画を早めて、早めた分を副教科対策に回す
これに尽きます。
その理由としては、
・受験5科に比べて、試験範囲の内容は多くない。
・ワークを使った復習が実施されない。
・出題傾向は、教科担任により独特のものになりやすい。
といったものだからです。
ではそれぞれの理由について。
●受験5科に比べて、試験範囲の内容は多くない。
試験範囲は、単元や項目として挙げられることがほとんどです。ページ数にすると多く感じるかも知れませんが、内容的にはシンプルなことが多いです。
●ワークを使った復習が実施されない。
5科のように学校指定のワークを使って学習することは少ないでしょう。
ということは、一見どのようにテスト対策をすればいいのか分かりにくいようですが、授業での先生の説明をメモしておくことと、教科書の内容でカバーできることも多いわけです。
●出題傾向は、教科担任により独特のものになりやすい。
市販でも塾でも副教科用のワークは存在しています。ただし5科に比べると数は少ないです。数が少ないということは、需要が少ないことの証左でもあります。
ただ勘違いしないでいただきたいのは、需要が少ないから重要ではないのではなく、現実的に、テスト自体がテスト作成者である教科担任の先生たちのオリジナリティが色濃く出ている傾向が高いということです。
つまり、過去のテストからその先生の出題傾向を分析しておくことも大事だということですね。
各教科の特徴は?
では次に、各教科の特徴を押さえておきましょう。
◆音楽
・音楽記号の理解
・曲名、作曲者名と時代背景
・楽器の名称や歴史など
・授業での説明
◆美術
・色に関する知識
・作品名と作者名、時代背景
・作品制作で用いた手法や道具について
・授業での説明
◆保体(保健体育)
・競技のルールや動作
・トレーニング方法
・生活や環境問題、薬物や生活習慣病等
・授業での説明
◆技家(技術家庭科)
技術
・材料や加工方法
・作品制作で使用した材料や道具について
・エネルギーや環境問題など
・授業での説明
家庭
・調理実習での食材の切り方や調理法
・栄養について
・裁縫について
・授業での説明
各教科で【授業での説明】と書きましたが、説明の仕方にも強弱があると思います。
例えば、「繰り返し説明があった」とか「熱のこもった説明だった」ところは、重要であることが推測
できますね。それもメモしておくのです。
記憶のメカニズムを利用して学習計画を
さて、前段ではあまりにも当たり前なことを書き連ねてしまいましたので、もう少しお役に立てることをご紹介します。
副教科のテスト内容は、暗記項目が非常に多くのウェイトを占めます。ということは暗記教科として実践してくことが高得点を取ることにつながります。
暗記では、記憶のメカニズムによるところが大きいわけですね。そうなると記憶のメカニズムを大まかに知っておくことで上手く計画していくことは可能です。
普段私たちは、記憶というワードを使いますが、この記憶、大まかに三つに分類されるのはご承知の方も多いでしょう。それは、
【感覚記憶】⇒感覚器官から送られた情報を瞬時に保持した記憶
【短期記憶】⇒一時的に数個程度の情報を保持する記憶
【長期記憶】⇒長期的に大量の情報を保存することができる記憶
というふうに分かれています。
また記憶の保持(保存)時間で見ると、
【感覚記憶】<【短期記憶】<【長期記憶】となるようです。
私たちが、例えば単語の暗記をしたとき、脳内には【短期記憶】として保持されます。しかし、翌日だったり翌々日には憎らしいくらいに忘れてしまっているのは、それが【短期記憶】のままになっているからです。
それは【短期記憶】はあくまでも“一時的な保管”だから致し方ないわけですね。ではそれを【長期記憶】に持っていくにはどうすればよいか。
ここまで書いて、皆さんに歓喜をあげてもらえる続きではないことに少々ナーバスになっています…。
もとい!どうすればよいか。そうです、何度も繰り返す“リハーサル”という行動が必要になるわけです。つまり、繰り返しの書き取りだったり、暗唱です。
ただ単に書き続けるとか、諳んじるのではなく、覚えやすいように工夫する(よくあるゴロ合わせ等)ことで記憶はより確かなものになるのですね。この作業をするかしないかで復習した時に要する時間は短縮できます。
よく見かける“エビングハウスの忘却曲線”です。
縦軸は「復習時に要する時間の節約率」、横軸は「経過時間」となります。赤の曲線がいわゆる忘却曲線で、一日経つごとに、復習に要する時間は長くなってしまうのですね。だから、効率よく長期記憶に移行させるために、翌日とか翌々日に再度復習を重ねると記憶は、100%に近い保持を示してくれる訳なのです。
一度きりの学習というのは、赤の曲線が示す通りに“思いだす時間が掛かる”つまりテストでの解答に時間がかかったり、忘れてしまっていることになるのです。
学習スケジュールとして
個人差はありますが、遅くともテスト日の一週間前には、テスト範囲の内容は全て暗記に取り組んでおくことです。さらに5日前、3日前、前日、当日というふうに計画してみてはどうでしょうか。
理想としては毎日繰り返すことですが、そうなると毎日9科を実行しなければなりません。要は、副教科だからと言って時間を割かないのではなく、早めに、計画的にスケジューリングしておくことなのです。
副教科も受験の”味方”にしよう!
副教科も取り組み方次第では、皆さんの強い味方になります。
受験では、「あきらめる」ことが一番の“鬼門”です。あらゆるものを味方にする、そのための行動を惜しまないことが大切です。皆さんの成績アップを応援しています!
疑問や質問などありましたら、どんなことでも結構ですのでお尋ね下さい。
西村 仁志
【略歴】
公立大学文学部卒業。学生時代は家庭教師。卒業後は公立学校教員として勤務。
その後、塾講師として20年以上経験あり。現在は個別ena河辺校長。
都立立川国際中、私立明大中野八王子中などに合格実績を出し、高校・大学受験においても都立八王子東・国分寺高校や明治大学、法政大学などGMARCH合格者を輩出。
これまでの経験を踏まえ役に立つ情報を楽しく発信していきます。