こんにちは、個別教師Campライターの西村です。
国語の学習を進めていくときに、文章読解力は非常に大事な力ですね。
文学的文章では、登場人物の心情や情景描写から何を読み取るか。
そしてその作品で作者が言いたかったテーマは何かを知ること。
説明的文章では、あることがらに対する筆者の考えや事実がどのように述べてあるのか、どういった論理の展開で説明されているのかを知ること。
これらは全て皆さんがどのように読み取るかにかかっています。
今回は「読解力」について一緒に考えてみましょう。
【教育コラム】読解力 ~読書とSNS~ ◎「読解力」とは?
「読解力」とは、辞書的な意味では「文章を読んで、その内容を理解する能力」とあります。
そしてこの「読解力」は国語科だけにとどまらず、すべての教科に影響することはご承知の通りです。
【教育コラム】読解力 ~読書とSNS~ ◎全教科に必要な力
私たちは、情報の大半を文字情報として受け取り、理解・認識しています。全教科に必要な力というのは、学校で学ぶすべての教科は、日本語の文、または文章での説明を受けているからです。
更にテストになれば、文字情報がほとんどです。となると、「文学的文章」「説明的文章」のみならず、まとまった内容の文章については正しく理解しなければ正解を導き出すことも困難になります。
【教育コラム】読解力 ~読書とSNS~ ◎子どもたちの「読解力」の現状は?
では子どもたちの「読解力」の現状がどうなのかということにですが、これについては報道等でもかなり盛んに“読解力の低下”が叫ばれています。
その根拠としては、「PISA」(15歳児の学習習熟度調査)という、OECD(経済協力開発機構)が実施している国際的な学習調査の結果があります。
まずこの「PISA」では「読解力」を下記のように定義しています。
自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、
書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力
引用元:「 PISA(読解力)の結果分析と改善の方向(要旨)」文部科学省HPより
要は、文章を単に理解できるだけではなく、その内容を理解し自分の頭で考えて生活に利用できる能力が「読解力」であるというわけです。
【教育コラム】読解力 ~読書とSNS~ ◎PISAの結果から
2018年実施の結果については下記リンクからご覧いただけます。
OECD 生徒の学習到達度調査(PISA)~ 2018 年調査国際結果の要約~
図1:「読解力」の国際比較
引用:PISA2018年調査国際結果の要約から一部抜粋
図2:「読解力」の経年変化
図1は、2018年調査の結果です。一方、図2はPISA調査における2000年~2018年の国際比較です。
順位としては2012年調査の4位から徐々に順位を下げているのが分かります。
調査方法や内容によっても違いは出てくるので一概に「読解力」の低下が顕著とは、この結果のみで判断できるわけではありません。 しかし各国の中での相対的な順位が下がっていることは確かです。
【教育コラム】読解力 ~読書とSNS~ ◎「読解力」を鍛えるために
このような国際調査の結果もですが、全体的に「読解力」の低下については様々にその原因が挙げられています。
◎「読解力」低下の原因として
①読書量の低下
割と声高に言われていることですが、実際にどうなのでしょうか。2021年の『学校読書調査』の結果には下記のような記述があります。
1か月間の平均読書冊数は、
小学生は12.7冊(前回比+1.4冊)、
中学生は5.3冊(前回比+0.6冊)、
高校生は1.6冊(前回比+0.2冊)となり、前回に引き続き全体的に増加の傾向にある。
また、小学生および中学生の平均読書冊数は、過去31年分の調査のうち最高値となった。
引用元:国立国会図書館 国際子ども図書館「第66回学校読書調査【2021-134】」より一部抜粋
少なくとも学校では読書量は改善が見られているようです。
【教育コラム】読解力 ~読書とSNS~
②SNSの普及によるもの
2023年現在、小学生から大人まで様々なSNSの利用が見られます。SNSとは、ソーシャルネットワーキングサービスの略称です。インターネット上で簡単に投稿できたり、個人同士がつながれたりするサービスだというのは今更の説明になるかと思いますが。
さて、そのSNSですが、ニュース等で取り上げられるのは、投稿による人間関係のトラブルだったり、不適切な交流といった、場合によっては犯罪性の高いものというのはご承知の通りです。
しかし、こと「読解力」にとってもデメリットがあるという考察です。
一般的なSNSでは、短文によるコミュニケーションが多いのが事実です。だからこそ気軽に手軽に利用できるわけですね。この短文によるコミュニケーションは先ほど書いたように“気軽に手軽に”投稿できるが故に「読解」という点についてはさほど労を要しない。
つまり“感覚的に”意思の疎通ができるのです。要は深い読みをしなくてもよい。だからそれが習慣になることによる「読解力の低下」の原因とされています。
ここで挙げた2つは「読解力低下」の原因とされます。
次回に続きます
さて、現状と原因とされる二点に触れたここから「読解力」改善の核心に入りたいところですが、続きは次回に回します。
モヤモヤするかも知れませんので、
「読解力向上」のワンポイントアドバイスを!
文章読解のポイントは「主語と述語をきちんと捉えること」
まずはこれです。
今回もありがとうございました。また次回お会いしましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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西村 仁志
【略歴】
公立大学文学部卒業。学生時代は家庭教師。卒業後は公立学校教員として勤務。
その後、塾講師として20年以上経験あり。現在は個別ena河辺校長。
都立立川国際中、私立明大中野八王子中などに合格実績を出し、高校・大学受験においても都立八王子東・国分寺高校や明治大学、法政大学などGMARCH合格者を輩出。
これまでの経験を踏まえ役に立つ情報を楽しく発信していきます。