こんにちは、個別教師Campライターの西村です。
みなさんは毎日何の教科を一番長く学習しますか?
テスト対策でもっとも時間を割く教科は何ですか?
塾で習っている教科はどの教科ですか?
いきなりの質問で恐縮です。
というのも上記の3つの質問ですべてに当てはまらない教科に国語があるのではないでしょうか。
国語と言うのは私たちの母国語でありながら、悲しいほどに注目されにくい教科のような気がします。
同情を禁じえません。
そこで、せめてここだけでも、このブログだけでも脚光を浴びてほしい。
そんな思いで書いてみようと思います。
そうです、今回は「国語」
そして取り上げるトピックとして「国文法」
しかも「助動詞」について…あ、ちょっと待って下さい、動画サイトに戻るのは待って下さい。
一緒に「助動詞」について見ていきましょう。
ぜひぜひお付き合いのほどを!
「助動詞」とは?
はい、ここでちょっと堅苦しい説明をしておきます。なぁにすぐに終わります。
「助動詞」
◇活用のある付属語で、いろいろな語に付いてさまざまな意味をそえる単語です。
① 「活用のある」とは、使う場所で語形が変わるということですね。
例えば「動詞」「形容詞」「形容動詞」と呼ばれるものです。まさに今使った「呼ばれる」という語、「動詞」の『呼ぶ』が『れる』(ちなみにこれは受け身の「助動詞」でしたね)を伴うことで『呼ば』と言うように変化します。これが「活用のある」と言うことです。
逆に「活用のない」とは、使う場所で語形が変わらないということです。
例えば『つくえ』という単語は、時間の経過で形は変わりませんよね。
過去の場合は“つくう”になったりするわけないですし、未来の場合に“つくお”にもなりません。
では時間の経過(過去や未来)はどうやって表すのか?
それは「助動詞」が担当しています!
② 付属語
単独で文節を作ることができない単語です。
つまり「名詞」や「動詞」「形容詞」「形容動詞」「副詞」「接続詞」「連体詞」「感動詞」この8品詞のように単独で文節を作れない。作らないのではなく、作れないのです。何か切ないです。
それでは【なくてもいいんじゃね?】と言いたくなるかも知れませんがそうはいきません。
なぜか?
それは「助動詞」によって文の意味が方向付けられるからです!
例えば、あるニュースを取り上げてみます。
松山市が今年度、ふるさと納税の返礼品に追加したスナック菓子「カール」が人気を集め、6月末時点で寄付額が約1000万円に達した。カールが販売されていない東日本からの申し込みが殺到し、予定数が早々になくなる想定外の事態に。市はメーカー側に追加発注し、14日から第2弾の申し込みを受け付ける。
カールは、菓子メーカー「明治」が1968年に発売したロングセラー商品。2017年からは生産拠点が松山工場のみとなり、西日本限定で販売されている。
このニュースでもそうですが、「助動詞(過去)」の「た」がよく使われますね。また「助動詞(受け身)」の「れ(れる)」「助動詞(打消し)」の「ない」もあります。
では皆さんがよく知る文章「ごんぎつね」(新美南吉著)からも例を
ごんは、ばたりとたおれまし/た。兵十はかけよってきまし/た。家の中を見ると、土間にくりが固めて置いてあるのが目につきまし/た。
「おや。」と、兵十はびっくりしてごんに目を落としまし/た。
「ごん、お前だっ/たのか。いつもくりをくれたのは。」
ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなづきまし/た。
ここでは「助動詞(丁寧)」の「まし(ます)」と「助動詞(過去・完了)」の「た」が使われています。
使用例としては一見少なく感じるかも知れませんが、しっかりと“仕事”をしているのが「助動詞」です。
「付属語」という性質上、文節の数よりも少なくなりますが、意味を付け加える働きとしては十分に実力発揮しています。
それは色のついた部分を読まないと文としての理解は完全に不可能に近いものになります。
「助動詞」をもっと理解するためには
と、ここまで「助動詞」について書いていますが、ここで書いたようなその重要性は皆さんも重々ご承知なのですよね。
ここでは“もっと理解するためには”と題していますが、結論としては、ド真ん中のド正論になります、やはり「助動詞活用表」をしっかりと“読む”ことなのです。あの一覧表こそがシンプルかつ網羅したものだからです。
ただあの一覧表を見るだけでは暗記という作業はやはり大変です。
となると一覧表だけでなく、そこに実際の文章で探していく練習が効果的ではあると思います。基本の大切さを実感するのは、実用例を認識することが有効だと思います。
実際に教科書ではそういう練習問題が掲載されています。しかし、イマイチ頭に入ってこないのであれば、より身近な文や、例えば歌詞や小説なども教材になりますね。
これは「助動詞」に限りませんが、教科学習と日常の生活を切り離して考えるとどうしても過剰なエネルギーを掛けることになります。
苦手だと思えばより身近なところに引き寄せて学習することはとても有効な方法だと思います。
「助動詞」の三要素をしっかりと
「助動詞」を学習するときに大事なポイントは、「意味」「活用」「接続」の三つです。この三つは三要素ですのでこれを押さえておきましょう。
「意味」…22の意味があります。これは「使役」や「受け身・可能・自発・尊敬」と言ったものです。
それぞれの助動詞がどういった意味を持っているかの区分です。
「活用」…18の助動詞が19種類に活用していきます。
「接続」…それぞれの助動詞がどのような語に接続するかと言うことです。
活用のある語であれば、未然形に接続するとか、連用形に接続するとかいう区分です。
これを完結にまとめたものが「助動詞活用一覧」ですね。教科書の付録として最後の方に掲載されています。
ぜひ確認してみて下さい。
読解のカギです!
文法とは、言語を書き表すときのルールです。私たちは普段何気なく使っていますから特に意識せずに使っています。しかしこのルールを知ることで根拠を持って理解の大きな一助になると思います。
特に今回取り上げた「助動詞」は文の中で特定の意味を持たせるはたらきをもった単語です。これを理解していくことは、表現と読解においても少なからずいい影響が出てきます。
「文法」と十把一絡げに顔を背けず、皆さんの心を開いてあたたかくアプローチしてほしいなと思います。
きっといい出会いになると思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
西村 仁志
【略歴】
公立大学文学部卒業。学生時代は家庭教師。卒業後は公立学校教員として勤務。
その後、塾講師として20年以上経験あり。現在はena個別河辺・小作校長。
都立立川国際中、私立明大中野八王子中などに合格実績を出し、高校・大学受験においても都立八王子東・国分寺高校や明治大学、法政大学などGMARCH合格者を輩出。
これまでの経験を踏まえ役に立つ情報を楽しく発信していきます。