こんにちは、個別教師Campライターの西村です。
前回ブログでは 「くらしの中の 『社会科』 ~国会~ 前編」と題して
国会の定義、役割と仕事、政党についてまとめてみました。
本日はその後編として
国会を構成している二院制についてや、国会の仕事をさらに見ていきながら、
国会議員を選ぶための私たちの「選挙」についてもお話していきたいと思います。
それでは参りましょう!
国会は「衆議院」と「参議院」の2つからなることは前回ブログでもお伝えした通りですが、
今一度その違いは何なのか、見ていきましょう。
衆議院と参議院の違いは?
衆議院と参議院の違いは、議員定数や任期などいろいろとあります。
上の比較表で確認してみましょう。
衆参両議院では、議員定数や任期、被選挙権(立候補できる年齢)など違いがあります。
特に衆議院では、任期中に「解散」というシステムがあります。
「解散」と「総選挙」
内閣は、衆議院で「内閣不信任の決議」が可決されると、
内閣は10日以内に「衆議院の解散」か「総辞職」しなければいけません。
これはつまり、国会で「内閣が行う政治のやり方が信用できない!」と言うことが多数決によって判断されたということです。
10月の衆議院議員総選挙は「解散」によって実施されたものです。
衆参両議院がある意味は?
国会に二院あることの意味については前述した“慎重に審議を行う”ことが挙げられますが、
任期の違いと解散の有無もまたそれぞれに意味があります。
皆さんが教科書で学ぶ「衆議院の優越」には下記の内容があります。
これらの「優越」が認められるのは、衆議院は任期が4年と参議院に比べて短いことと、
解散があることで実質4年未満での選挙があること。
それらから、直近の国民の意思が反映されやすいことが理由となります。
では参議院の強みは何でしょうか。
教科書等ではあまり触れられませんが、ここも押さえておくことで両院の理解は進むのではないでしょうか。
参議院の強みとは、6年の任期を、長期的な視野で考えることが可能になるということです。
一時的な世論の動向や情勢に惑わされることなく、中長期での国政を視野にして取り組めるという利点は大きいですね。では衆議院がそうではなく、一時的な動向に左右されているかと言えば必ずしもそうではありません。
こういった“慎重さ”だけでなく、立場の違いからくる多角的な視点で国民主権を体現してくれているのですね。
国会での決定はどうやって?
衆議院・参議院ともに本会議において多数決で物事が決定されます。
予算にしても法案にしても賛成多数で決定(議決)されるのです。
例えば予算案や法案(法律案)などが議員(政党)から提出されます。
もちろん提出した議員(政党)にとってそれらは賛成されることを望まれる訳ですが、
多数決での決定ですので、その案に賛成してくれる人が多い方がいいわけですね。
それがいわゆる“数の論理”(少数派との対話を重視せず、意見の集約を行わないまま多数決で結論に導く姿勢)とも批判されがちですが、
多数決でことを決する事実があるので、自分の政党の議員は多い方が政策実現が容易になるということです。
特に与党であれば、衆参でそれぞれ過半数(半数以上)を占めた方が自分たちの理想の政策が議決(賛成)されやすくなるというわけです。
ですから選挙番組やニュースでは、「自民党単独での過半数割れ」とか「与党でも過半数割れ」という言葉が出てくるわけです。
内閣総理大臣はどうやって決めるのか?
「国会」の大切な仕事のひとつに「内閣総理大臣(首相)の指名」があります。
私たちの日本の政治を主導するのは、「内閣」です。そしてそのリーダーが総理大臣です。
日本では、総理大臣は国会議員の中から選ばれます。
またその総理大臣を選ぶ選挙は国会(衆参両院)で行われます。つまり私たち国民が直接選ぶわけではないのですね。
内閣総理大臣指名選挙は、首相指名選挙、首班指名選挙とも呼ばれます。
そうやって選ばれた内閣(総理大臣)は、国会の信任に基づいて成立しています。また国会に対して連帯して責任
を負っているのです。この仕組みを「議院内閣制」と言います。
世界でこの「議院内閣制」を採用している国は、
ドイツ・オランダ・スペイン・イタリア・スウェーデン・オランダ・ベルギーなど欧州諸国はほとんどが
「議院内閣制」を採用しています。他にもカナダ・インドなども同様です。
※「議院内閣制」でも全く同じではなく、違いもあるのでご了承を。
この制度ですから、前述した各政党の議員数というのが大きく影響するのです。
各政党は一般的に、自分の政党のリーダーを総理大臣に選ぼうとするわけですから。
「国会」での議会の種類は?
「国会」では、議会が開かれますがその内容によって次のようになります。
ちなみに先月10月27日に行われた衆議院議員総選挙を受けて、③の特別国会が11月11日に召集され、4日間行われました。
政治に参加できる権利は行使しましょう!
私たちは、日本国憲法によって政治に参加する権利(参政権)を認められています。
しかし、現状では先日の衆議院議員選挙では投票率は53.85%で前回・3年前の選挙を2.08ポイント下回り、戦後3番目に低いものでした。
また各世代の投票率の差もよく話題に上ります。世代によって投票率に違いが見られます。
R3年に実施された第49回衆議院議員選挙の投票率で見てみると、
- 60歳代→38%
- 50歳代→96%
- 70歳代以上→61.90%となっています。
一方、最も低いのは
20歳代→47.13%で、10歳代、20歳代、30歳代では50%に達していません。
これがどのように影響するかというと、次のような視点を立候補者が持ってしまう可能性が出てくるということも言えます。
それは、【選挙に来ない若者世代のためよりも、投票率の高い50歳代以上に評価される政策を実施しよう!】
という視点です。
確かに私たちが持つ一票は、全体から見るとほんのわずかなものかも知れません。
しかし、その一票を無駄にすることは、自分たちの権利を放棄するということだけでなく、私たち自身のこれからの暮らしがどうなっても文句は言えないということにも繋がります。
義務だけ果たして権利は放棄する。
そういうことが無いようにしていきたいですね。
参考)
総務省HP 「国政選挙の年代別投票率の推移について」衆議院議員総選挙における年代別投票率の推移より
本日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
西村 仁志
【略歴】
公立大学文学部卒業。学生時代は家庭教師。卒業後は公立学校教員として勤務。
その後、塾講師として20年以上経験あり。現在はena個別河辺・小作校長。
都立立川国際中、私立明大中野八王子中などに合格実績を出し、高校・大学受験においても都立八王子東・国分寺高校や明治大学、法政大学などGMARCH合格者を輩出。
これまでの経験を踏まえ役に立つ情報を楽しく発信していきます。