皆さんこんにちは。個別教師Camp事務局です。
みなさんこんにちは。家庭教師キャンプです。
学校も冬休みが明け、受験までラストスパートの時期がやってきましたね。
今シーズンは本当に風邪、インフルなどが流行しています。みなさん、体調第一です!!
さて、以前の記事で自衛隊の設立経緯と日本国憲法における平和主義の文章を確認しました。
もう一度、憲法の内容を確認しておきましょう。
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、
武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄
する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権
は、これを認めない。
今回は、この自衛隊にまつわる過去の裁判例のうち、入試で良く出る判例をみていきましょう。
〇自衛隊にまつわる頻出訴訟 長沼ナイキ基地訴訟とは?
長沼ナイキ基地訴訟(1969年)は、自衛隊に関わる訴訟として良く出題されます。
この事件の概要は、北海道長沼町の馬追山にある保安林(洪水防止などの観点から開発を制限している森林)を当時の防衛庁がナイキ・ミサイル(アメリカ製の地対空ミサイル)基地建設のために保安林を解除しました。
このことに地元住民は反発し、指定解除の取り消し訴訟を起こしました。この時、住民は安林指定解除処分により洪水の危険性が高まったということを根拠にしています。
この訴訟の争点は以下の通りです。
①自衛隊の基地設置は保安林指定の解除の要件である「公益上の理由」にあたるのか。
②自衛隊の存在は合憲なのか
この裁判は一審・二審・最高裁と三つの判決を経ています。
第一審(1973年)では、憲法9条第二項一切の戦力の保持が禁じられており、自衛隊は戦力として違憲と判断しています。よって保安林指定は解除としています。
第二審は1976年に行われますが、この間に洪水防止のための砂防ダムを作られました。その結果として、第二審では住民の訴えの利益(洪水防止)が消滅したと判断されました。そして自衛隊の合憲・違憲については、統治行為論を用いて審査しませんでした。
この後に行われた上告審である最高裁判決(1982年)においても二審の判決を支持し、訴え委の利益なしとして上告を棄却して、住民側である原告の敗訴が確定しました。
統治行為論とは?
今回挙げた長沼ナイキ基地訴訟における自衛隊や日米安全保障条約の合憲性に対する判断について、実は裁判所では憲法判断を回避することが多くあります。
※安保条約の訴訟は最重要の訴訟は砂川事件です。必ず確認しておいてください。
日本における裁判では先例を大事にする傾向にあるため、憲法の番人と呼ばれる最高裁判所における判決は、この先の各種裁判の判決を考える際に影響を与えます。そのため、最高裁において合憲性に関して判決を行うことに慎重になっています。
では、最高裁などで合憲性の憲法判断を回避する際に用いられる統治行為論とはどのようなものでしょうか?衆議院の憲法調査会は、統治行為をこんな風に定義しています。
直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為で、法律上の争訟として裁判所による法律的な判断が理論的には可能であるのに、事柄の性質上、司法審査から除外されるもの
もう少しだけかみ砕いてみると、「高度の政治性」を有するような国家の行為は、その性質上から国民の代表である国会の決定を尊重するべきであり、司法判断の対象とすべきではないということです。
結果として、自衛隊など憲法の内容ときちんと審査することが求められている部分に対して判断が示されていないと捉えられる状況にあります。
まとめ
今回は自衛隊と最高裁判決の関係を見てきました。この他にも、政教分離に対する判断や自衛隊員の行動に対する判断など、さまざまな裁判が行われていました。特に重要な分野ですので、しっかり見直しておきましょう。
本日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。