こんにちは。個別教師Campライターの工藤です。
突然ですが、SDGsの意味をお子さんに聞かれたら、即答できますか? 今や全国の中学生・高校生が学校の活動で取り組んでいるSDGsですが、保護者様で詳しい方はそれほどおられないと思います。実はこれ、中学受験や高校受験とも関連する、大事なキーワードなのです。今回は、SDGsについて書いていきます。
【SDGsとは? 身近な取り組みは?】SDGsとは?
昨年の紅白歌合戦のコーナーでも取り上げられていた「SDGs」。これはいったい、そもそも何なのでしょうか。
SDGsの意味
SDGsとはSustainable Development Goalsの略称であり、「持続可能な開発目標」という意味です。外務省のホームページに掲載されているパンフレットによると、「『誰一人取り残さない(leave no one behind)』持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標です。2015年の国連サミットにおいて全ての加盟国が合意した『持続可能な開発のための2030アジェンダ』の中で掲げられました。2030年を達成年限とし、17のゴールと169のターゲットから構成されています。」とあります。(『持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組』SDGs_pamphlet.pdfより)
2030年というと、あと8年くらいしかありませんね。2015年の国連サミットで決定したと考えると、ちょうど昨年・今年が折り返し地点というイメージでしょうか。
SDGsの掲げる17の目標
SDGsには17のゴールがあるとありますが、具体的に見ていきましょう。
目標1:貧困 あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる
目標2:飢餓 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養の改善を実現し、持続可能な農業を促進する
目標3:保健 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
目標4:教育 すべての人に包括的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
目標5:ジェンダー ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う
目標6:水・衛生 すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
目標7:エネルギー すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
目標8:経済成長と雇用 包括的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
目標9:インフラ、産業化、イノベーション 強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
目標10:不平等 国内及び各国家間の不平等を是正する
目標11:持続可能な都市 包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
目標12:持続可能な消費と生産 持続可能な消費生産形態を確保する
目標13:気候変動 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
目標14:海洋資源 持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
目標15:陸上資源 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
目標16:平和 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
目標17:実施手段 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
長かったですね……。こうやって見てみると、環境問題だけのように考えていた人も、意外と公民分野に関連するような法的問題や人権に関する問題、あるいは経済目標なども含まれていることが分かります。
各項目一つ一つはとても重要であり、ここで語りつくすことはできませんが、オンライン個別指導の個別教師Campとしては、気になるのは「SDGsと入試」ということになります。SDGsは入試とどのように関係しているのでしょうか。今回は都立中高一貫校および都立高校の入試を見ていきましょう。
【SDGsとは? 身近な取り組みは?】SDGsと都立中高一貫校入試・私立中入試
例えば、令和3年度の都立中の適性検査Ⅱ(共通問題)の大問2では、人工林の整備サイクルや成長速度、間伐材の利用などのテーマで出題されました。直接的にSDGsという単語が出ているわけではありませんが、やはり環境と経済に関する問題と言えます。
また、都立武蔵中では、総合的な学習の時間に『地球学』に取り組んでおり、地球学を国連目標であるSDGsと結び付け、17の目標を研究テーマとして設定するといった取り組みが行われています。SDGsについて重要視していることがうかがえます。各都立中高一貫校にとって、こういった独自性は、そのまま出題傾向や求める生徒像と結びつく可能性が高いです。用語の暗記が必要なわけではありませんが、それぞれの目標の意味や具体的な取り組みについては、関心を持っておきましょう。
私立中入試においてはどうか?
実は私立中入試においても、SDGsは頻繁に出題・テーマとされています。そもそも私立中では都立中高一貫校のような適性検査入試を導入しているところも多く、そういった学校での出題は多く見られます。また、そうではない学校や入試方式(従来の4科目型入試)においても、出題されたり会話文のテーマがSDGsだったりすることがあります。中学受験をする人にとっては、必須の知識と言えるでしょう。
【SDGsとは? 身近な取り組みは?】SDGsと都立高校入試
次に、都立高校入試について見ていきます。基本的に都立高校の一般入試(筆記試験)では、SDGsを直接的に問う問題や記述問題はありませんが、推薦入試は違います。
例えば、都立高校の令和3年度推薦入試の小論文のテーマを見てみましょう。都立最難関校である都立日比谷高校は、「SDGsの目標の相互の関連性を踏まえた上で、目標の一つである『2 飢餓をゼロに」という目標に対して『農地を増やす』という解決策を考えるとき、これにより良い影響が及ぶと考えられる目標と、悪い影響が及ぶと考えられる目標をそれぞれ一つずつ示し、その理由を説明する」というものでした。
都立大崎高校では「近年、SDGs(持続可能な開発目標)に代表されるように、世界的な問題を自分ごととして捉えて主体的に取り組む姿勢が重要視されています。本校でも、学習・行事・部活動・校外活動などに受け身の姿勢ではなく、主体的に取り組むことのできる生徒を求めています。このことを踏まえて、あなたが高校生活で主体的に取り組もうと考えていることは何ですか。具体的な場面を一つ挙げて述べなさい。」という作文課題が推薦入試で出題されました。都立福生高校では「現在、世界では持続可能な社会の実現に向け、様々な取り組みが行われています。その目標の一つに、『働きがいのある人間らしい雇用の促進』という内容が含まれています。これに関連して、中学時代のやりがいについて・高校生活や将来について」といった内容がでています。SDGsはあくまで話の導入部分のみではありますが、それを知っていることをある程度前提として問題が作られています。
直接的にSDGsという単語が出てこないものでも、都立昭和高校の小論文では「世界の食料ロスと食料廃棄」に関連する問題が、都立小平高校の小論文でも「世界の地域別栄養不足人口の割合と地域別食糧廃棄の1人当たりの発生量」、都立日野台高校では「漂着ごみやプラスチック製レジ袋の有料化について」など、関連テーマからの出題が見られます。
また、推薦入試には面接もありますが、面接での質問においても「SDGsの目標の中で気になるもの」といった質問がありました。都立高校を受験する中学3年生にとって、SDGsに関心を持ち知識を身に付けることは非常に重要だと言えるでしょう。
【SDGsとは? 身近な取り組みは?】SDGsと都立中・都立高入試まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。今回は、近年話題となっているSDGsの概要と、中学入試・高校入試への影響について見ていきました。オンライン個別指導の個別教師Campでは、都立中入試・都立高入試にも対応したコースをご用意しています。また、全国の都道府県の公立高校入試対策も行っておりますので、ぜひ一度お問い合わせください。
工藤
【略歴】
自らも個別指導塾に通い、私立中・国公立大に合格。個別指導塾の講師として働き、就職。個別指導塾の校長を務め、現在は個別教師Camp校長。個別指導一筋で8年間指導。
都立南多摩中、区立九段中、私立桐朋中、明大中野八王子中など、高校・大学受験でも都立国分寺高校、上智大学、法政大学などに合格者を輩出。
指導経験を活かして、みなさんに有益な情報を発信します。