こんにちは、個別教師Campライターの西村です。さて、今回は「計算ミスをなくす方法(中学生編)」として、計算でのミスの原因から解決法を一緒に考えて見たいと思います。今回もお付き合いのほどよろしくお願いします。
「計算」の重要性
小学校で「算数」を、そして中学に入ると「数学」となり、高校まで学習するこの教科で計算と言うのは、その根幹をなすものです。皆さんがご存知の通りです。では「数学」という教科でどのくらい計算が必要になるかを見てみましょう。中学校で学ぶ領域(単元)は下記のようになります。
これら4つの領域で計算が不要な領域はありませんね。もちろん単元で見れば、「作図」や「図形の合同」など直接的に計算が不要なものもありますが、数学という教科全体から見ればそれはほんの一部です。
そこからさらに考えてみると入試問題に関しても同様です。例えば「令和4年度都立高等学校入学者選抜 学力検査」の数学、いわゆる都立高校数学の入試を見てみると下記のようになります。
見にくいかもしれませんが、計算を使わずに解ける問題は大問1の問9作図のみです。得点で見ると6点(100点中)となります。
これは一例で実施年度により多少の変化はあります。しかし要は、“計算が入試も含めて教科として切り離せないもの”だということです。数学においては必須のスキルなのですね。
「計算ミス」の原因あれこれとその対策
前段で述べたほぼすべての単元で必要なスキルであることはお分かりいただけたのではないでしょうか。ではどうやって「計算ミス」が生じるのか。次にそこを考えてみましょう。
①基本的な計算力の不足
まず考えられるのは小学校で計算ルールの定着が不十分であることが挙げられると思います。四則の計算は基本中の基本です。加減乗除(たし算・ひき算・かけ算・わり算)は整数では問題なくても、分数や小数になると計算スピードと正解率が低くなる生徒もいます。計算の順序やルールは必ず覚えておいて下さい。
対策
計算ドリル等を使って、シンプルなものから四則が混じった計算練習を実行しましょう。「今さら…」と思うかもしれませんが、先ほどの入試問題を見てもらうとその重要性が分かると思います。基本的な計算力が身に着けば、スピードアップと減点がなくなるようになります。
②途中式を書かずに暗算に頼る
次に考えられるのは、途中式の使い方です。テストであれば特別な場合を除いて“途中式”を書き込んでいても減点にはなりません。しかし、計算ミスが多い生徒の傾向としては、暗算で解答をだしていくことが多いようです。それは答案を見ると明らかです。問題演習においても普段から暗算で解く習慣になっていることが多いです。ここで大事なのは、暗算が悪いのではなく、ミスをなくすためにどうすれば良いかという視点です。
対策
計算をするとき、“いちいち”途中式を書く意識を持ち、実際に取り組んでみましょう。気を付ける点は、あちこちにバラバラに書かないことです。一つの問題については、まとめて書いておきましょう。あとの項目でも書きますが、見直しの際、途中式の有無は時間短縮につながります。
③問題の読み取りが不十分なまま解き始めてしまう
文字式や方程式のずばり計算問題であっても、符号の間違いなどがよく見られます。もうこれだけ“あるある”ですね。また文章題であれば、早く解かなければという焦りから読み取りできないままに取り組むことがあります。「問題文はヒントでもある」ことをよく認識して「何を、どのように解き、どんなふうに答えるのか」をチェックして下さい。
対策
方程式であれば、xにあたる数字、yにあたる数字などに線を引いたり、○で囲むなり、一目でわかる工夫を試してみて下さい。
④文字・数字の書き方が乱雑
もう言うに及ばずでしょう。自分で書いた文字や数字、記号を読み間違う可能性があります。これも生徒からは「テストのときには丁寧に書くから」という苦し紛れの言い訳を聞きます。しかし改善されないでテストでの失点要因になるパターンです。
対策
普段から丁寧に書く習慣をつけておくこと。きれいでなくてもいいのです。誰もが読みやすい文字や数字、記号です。誰もが読めることが大切です。ここが改善できれば、より綺麗な答案ができます。
⑤自分が苦手な箇所を把握していない
自分の苦手なことを直視するのはなかなか難しいというか、大人でもつい避けたいことでもあります。しかし、自分のことを知ることは改善することにまず着手しないといけないところでもあります。方程式でも関数でも、解き方を習得したとしても計算でミスしてしまうと苦手意識が芽生えてしまいます。ですからまず計算力を身に着ける。そして解き方をマスターしていくことです。
「計算力」を身に着ける方法
ここまでも散々書きましたが、具体的なやり方についても述べてみましょうか。特別なものは実はありません。要はひたすら計算演習することなのです。ですが、これがまた大変です。生徒たちもそのことは分かっているのに実行しない、できない。
人生はすべて知恵と工夫です! 少しゲーム性というか、遊びの要素も入れていくことも大事です。例えば、計算問題があるとします。文字式でも方程式でもだいたいの問題集は、9問とか12問とかで待ち受けています。
計算力習得その①
左端の問題だけ縦に解いてもらうやり方です。そしてミスしたら右の問題を追加します。名付けて「おかわり方式」です。これだと縦一列を正解すれば演習数は少なくて済みます。生徒の集中も高まります。
①まず縦に赤丸の問題を解く。
②間違えたらそれぞれ右側の青丸を追加して解く。
計算力習得その②
計算も時間を書ければ正解率が上がります。しかしテストでは制限時間があります。つまり早く正確に解ける力を身につけなければいけません。焦ったときにミスが出ますからその対策を。
名付けるまでもなくそのまんまですが「タイムアタック方式」まとまった問題数、例えば1ページの問題を何分で解けるか、何分で解かせるかです。少しずつ時間を短縮すると難易度は上がります。そこで実力を身に着けてもらいましょう。そして仕上げに「見直し」の徹底です。ケアレスミスはつい出てしまいます。それをなくすだけで得点は変わります。次回のテストに向けてよかったら実践してみて下さい。
疑問や質問などありましたら、どんなことでも結構ですのでお尋ね下さい。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
西村 仁志
【略歴】
公立大学文学部卒業。学生時代は家庭教師。卒業後は公立学校教員として勤務。
その後、塾講師として20年以上経験あり。現在は個別ena河辺校長。
都立立川国際中、私立明大中野八王子中などに合格実績を出し、高校・大学受験においても都立八王子東・国分寺高校や明治大学、法政大学などGMARCH合格者を輩出。
これまでの経験を踏まえ役に立つ情報を楽しく発信していきます。