こんにちは、個別教師Campライターの小室です。
模試や定期テストの勉強している際に、良く苦手としてあげられるのが「文化史」です。
しかし文化史というのはその時代の背景や権力者から読み取っていくと覚えやすくなります。
今回は「近世の文化 元禄文化」についてです。
近世の文化
前回の内容で、「近世の文化 桃山・寛永期」について解説しました。
桃山文化は絢爛豪華なところが大きな特徴です。
鎌倉文化同様武士が中心となった時代であっても、仏教色が薄れ、
他方でヨーロッパなどの新しい文化が流入しながら、より豪商が活発になった文化です。
この桃山時代といえばおなじみ 織田信長 や 豊臣秀吉 の影響が多大なものであり、
ついで寛永期の文化では、江戸幕府の3代将軍徳川家光による文化の保護・育成、
桃山文化の継承をしている文化で絢爛さが桃山文化と似ているという話をしました。
今回解説していく元禄文化は、江戸幕府の5代将軍徳川綱吉のころの文化です。
この文化は桃山・寛永期の伝統を継承しつつ、経済発展を背景とする上方(かみがた)の町人文化です。
(上方とは、現代でも「上方落語」といった言葉に使われるように、関西地方をさします。
かつて天皇の住んでいた土地を「上」というふうに権威付けたわけですね。)
さて、この「町人」というのがポイントで、これまでより少しだけ民衆に近づいた文化になっています。
文芸としては井原西鶴が書いた、内容が多様な小説である『浮世草子』や
松尾芭蕉の紀行文である『奥の細道』、
近松門左衛門が書いた人形浄瑠璃の台本である『曾根崎心中』など
民衆が楽しむ文化が増えていることが分かります。
絵画では俵屋宗達から学んだ尾形光琳の
『紅白梅図屛風』『燕子花図屏風』は華やかなため、桃山文化などと混ざらないように気をつけましょう。
菱川師宣は江戸の浮世絵師であり、浮世絵版画を創始した人物で『見返り美人図』を作成しました。
『見返り美人図』も色彩が豊かですが、町人文化を代表しています。
儒学など学業に関するものも多くあるため、大学受験で日本史を使う人は以下もしっかり押さえておきましょう。
まず儒学では山崎闇斎の垂加神道、中江藤樹の陽明学、
熊沢蕃山の『大学或問』、山鹿素行、伊藤仁斎、荻生徂徠など、
特に荻生徂徠は徳川吉宗に用いられているため政治史も含めておさえていきましょう。
また、水戸学が発達した『大日本史』や新井白石の『読史余論』、
古典では『万葉代匠記』の契沖、北村季吟の『源氏物語月抄』、
実学では宮崎安貞の『農業全書』、貝原益軒の『大和本草』は確実に覚えておきましょう。
実学が強く押し出されてきたという点も
町人文化をイメージする上で覚えておくとわかりやすくなります。
覚えることが多く大変な内容ですが、資料と合わせながら視覚からも覚えていくようにしましょう。
本日もブログをお読みくださいまして、ありがとうございました。
小室
【略歴】
学生時代から個別指導塾で講師として研鑽を積み、現在はena個別牛浜の校長を務める。
大学在学時に中学・高校の社会科の教員免許を取得。
中学受験では都立南多摩中・立川国際中・私立明治大学中野八王子中などの指導実績あり。
高校受験では都立高全般の指導を行う。
これまでの経験を踏まえ、社会科分野を中心に受験に役に立つ情報を発信していきます。