こんにちは、個別教師Campライターの西村です。8月も中旬に入り、夏休みも中盤に差し掛かりました。課題は進んでいますか。
計画的に進められていれば問題ないのですが、ついつい後回しにしていると、夏休み終盤の日曜の夕方に〇〇エさんで放映されるであろう、カツオくんと同じ状況になりかねません。それは避けたいですね。
というわけで、今回の個別教師Campブログの臨時号は、夏休みの宿題の定番とも言える「自由研究」について書いてみます。
自由研究って
毎年悩む「自由研究」ですが、調べてみると興味深い歴史もあります。私の記事では何かと登場する文部科学省。別に私自身は文科省マニアではありませんよ。単に「疑問があれば文科省に聞け!」という動機です。(これももちろん本当に聞いているわけではありません、あしからず。)
はい、本題に戻ります。昭和22年(1947)の学習指導要領(試案)にはこんな記載があります。
学習指導要領 : 試案. 昭和22年度 一般編 国立国会図書館デジタルコレクションより
この「学習指導要領(試案)昭和22年の『一般編』より小学校の教科と時間配当表にはなんと「自由研究」が教科として掲載されています。
つまり過去には、今回のテーマにした「自由研究」は学校教科として存在していたのです。
小学4年生から6年生の履修教科として存在していたのです。ではどういったことだったのかというと「自由研究は,児童の自発的な活動を促すために,教師の指導の下に児童がそれぞれの興味と能力に応じて,教科の発展として行う活動や学年の区別なく同好の者が集まって行うクラブ活動などを行う時間として設けた。」文部科学省「学習指導要領等の改訂の経過」より
しかし、昭和26年(1951)年の指導要領の全面改訂では、「自由研究を発展的に解消し,教科の学習では達成されない目標に対する諸活動 を包括して教科以外の活動とし,それらの活動を例示した」(文部科学省「学習指導要領等の改訂の経過」より抜粋)というふうに教科ではなくなってしまっています。あくまで“発展的に解消”したのですね。
理由としては、ここからは私見ですが、教科として授業実施する際に「自発的な活動を促すため」の「興味と能力に応じ」た発展的な活動や学年の区別がなく実施していくのは、現場の教師にとってはとても混乱しやすいものだということは想像に難くありません。例えば、国語や算数といった領域で系統的に学習指導していく方が、効果が見えやすくもあり、評価もまた一貫性、透明性もあり標準化しやすいといったことではないかと考えられます。
ちなみに夏休みの課題とされたのはいつからなのかは史料がほとんど残っていないようです。とはいえ、現に課題として毎年お子さんたちを悩ませる代表的な存在となっています。
「自由研究」をどう始めるか
ではどのように課題を進めていくか。頑張って取り組むのだから、どうせなら高評価が欲しいところです。ではどういったポイントが評価されやすいかについて考えてみましょう。
一般的には下記のポイントについて気を付けてみて下さい。
①テーマ選択についての根拠
②まとめ方、プレゼンテーションの丁寧さ
③テーマの一貫性
①テーマ選択についての根拠
なぜそのテーマを選んだのかという根拠は必要です。自主性や自発性を見られる自由研究ですから。
「ただ何となく」とか「課題だからやった」という雰囲気満載ではやはり自発性は感じにくくなります。どういったいきさつでそのテーマで調べたのかという根拠は、しっかりと打ち出して下さい。
②まとめ方、プレゼンテーションの丁寧さ
次にはどのように“見せるか”です。必要と思われる資料やデータは正確なものを提示しましょう。
まとめとしては、個人的な考えが必要ですが、そこに導くための資料やデータはあった方が信憑性も高くなります。最初から最後まで個人的な意見だけだと「それって個人の感想ですよね?」って論破されます。また「データかなんかあるんですか?」って突っ込みも入りそうです。どこから入手した資料なのか出典も明記してみましょう。その上で実験なり、調査した内容については、論理的に検証していく流れに注意してみて下さい。
③テーマの一貫性
三点目は、「一貫性」です。取り上げたテーマが良くても出来上がったものがテーマから逸れてしまっていてはせっかくの自由研究も何について調べたのかぼやけてしまいます。そのためにはしっかりとメモや構想、下書きも必要です。
「自由研究」のテーマをどう決めるか
さて、ここまで書いてきましたが、そろそろ皆さんからの「じゃあ何をテーマにすればいいの?」というご意見が無言の圧力で感じられます。もちろん準備しています。ここで私がおススメするのが、個別教師Campの講座から「都立中作文 頻出テーマ48」です。
この講座では、都立中受検における適性作文で出題されやすいテーマについて作文演習をしていく講座ですが、そこで挙げているテーマは、「自由研究」のテーマとしても利用できるものが多いと思います。下記は一部ですが、これだけでも自由研究のテーマとしても使えるものが多いです。
日程(週単位) | 内容 | 日程(週単位) | 内容 |
2/7(月)~ | ①温暖化 | 8/1(月)~ | ㉕発展途上国の子どもたち |
2/14(月)~ | ②努力 | 8/15(月)~ | ㉖理科的なものの見方・考え方 |
2/21(月)~ | ③外国人とのコミュニケーション | 8/22(月)~ | ㉗読書 |
2/28(月)~ | ④自然との関わり | 8/29(月)~ | ㉘家族 |
3/7(月)~ | ⑤マナー | 9/5(月)~ | ㉙チャレンジ・挑戦 |
3/14(月)~ | ⑥学校生活のルール | 9/12(月)~ | ㉚対話 |
3/22(月)~ | ⑦異文化交流 | 9/20(火)~ | ㉛世界の食糧危機 |
3/28(月)~ | ⑧科学技術 | 9/26(月)~ | ㉜機械化・ロボット |
このテーマを使うことのメリットは、
都立中受検の生徒には。
・作文の体験例をストックできる。
体験例で迷う生徒さんは多いです。ただどういった体験例を書くのか作文自体の評価にも関わります。そこでテーマについて調べることで、知識や情報が豊富になります。知識や情報は多い方が適切な体験例が書きやすくなります。結果として「自由研究」と「適性作文」の両方で非常に役立つものとなります。
非受検の生徒には。
・48のテーマから自分の興味関心に該当するものを調べることで、知識量は間違いなく増えます。
受験の有無にかかわらず、今後の高校受験や大学受験では、表現領域の出題が増える傾向です。来るべき受験に備えて、早いうちから準備することは必ず有用です。
自由研究は、テーマをどう選ぶかが一番の悩みどころだと思います。今回は個別教師Campの講座からご紹介しましたが、テーマは日常生活の中でもありふれているものです。たとえば、コンビニやスーパーで有料になったレジ袋についても、なぜそうなったのかは環境問題についてのテーマになりますね。また、ガソリンから食料品の値上げについてもなぜ値上げするのかは経済、産業、更にどの方面を詳しく調べるかによっては平和問題にもつながります。
どうでしょうか。夏休みの「自由研究」も積極的に取り組んでほしいと思います。ご参考になれば幸いです。
疑問や質問などありましたら、どんなことでも結構ですのでお尋ね下さい。