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大学入学共通テストの総括(英語・国語・社会教科)

2023.01.27

おすすめ学習法

大学入学共通テストの総括(英語・国語・社会教科)

こんにちは、個別教師Campライターの西村です。共通テストが終わって早くも2週間が経ちました。今は二次試験に向けて対策に余念がないことと思います。今回は、特に来年度以降に受験する高2・高1生を対象に、大学入学共通テストの総括ということで書いていきます。

大学入学共通テストとは?

大学入試の歴史から見ると、戦後の「教育基本法(1947)」の制定に伴い、新制大学と呼ばれる4年制大学の形が始まり、1949年から始まった「Ⅰ期・Ⅱ期校制」から、1974年に「共通第一次学力試験」、そして1990年から「大学入試センター試験」となり、2021年から「大学入学共通テスト」(現行の制度)となるわけです。その役割としては、大学入試センターでは下記のように示しています。

 

1.大学教育の基礎力となる知識・技能や思考力、判断力、表現力等を問う問題作成

2.各大学が実施する試験との適切な組合せによる大学入試の個性化・多様化

3.国公私立大学及び公私立短期大学等を通じた入試改革

4.アラカルト方式による各大学に適した利用

独立行政法人 大学入試センター 「大学入学共通テスト『大学入学共通テストの概要』」

 

そういった役割の元に実施される共通テストは、大学入試センターと各大学(国公立大・私大)が協力し、全国同一日程、同一問題で行われるテストなのですね。

 

共通テストは、以下の3つの入試に利用します。

①国公立大学を受験

②私立大学の共通試験利用

③私立大学の共通試験併用型

 

まず①については国公立大学を受験する際の1次試験として利用され、共通テストと個別試験の合計で合否が決まります。また②と③については、「単独型」と「併用型」があります。

◇単独型は大学入学共通テストの成績のみで合否が決まる方法です。

◇併用型は共通テストのほかに大学独自の試験が課される方法です。

それぞれ、科目や配点比率については、大学や学部学科によって違ってきますので、受験大学の募集要項を必ず確認しましょう。

「共通テスト」利用のメリット

さてそんな歴史と役割がある大学入試「共通テスト」ですが、そのメリットは何か。受験生側と大学側の二面で見てみましょう。

【受験生のメリット】

複数の大学の対策を同時に行えること。

受験費用が抑えられること。

地元で受験できること。

受験生側のメリットで言えば上記3点がまず挙げられます。大学ごとの対策をしなくてもよくなること。そして大学ごとの受験料が不要になることも挙げられます。受験費用について言えば、受験は地元で可能になるので、地方から大都市圏への移動費、宿泊費をカットできます。受験生についても保護者についても時間と経費、労力が有効活用しやすくなりますね。

【大学側のメリット】

・今まで実施が難しかった小論文や面接を導入する余裕ができた

・受験者が全国的に広がり受験者数も従来から増加した。

・大学のPRに役立ち、イメージアップが図れた

・全科目に平均的な学力を有するオールラウンド型の生徒が受験するなど、従来とは異なった層の学生を開拓することができた。

・大学独自の試験のみで選抜を行うよりも、広範囲の教科・科目から選択することで広い視野から受験者の適性の評価が行えるようになった。

同一大学・学部の受験チャンスが1回増えたことが受験者に好評であった。

【デメリット】

一方、デメリットも当然ながらあります。大まかに列挙すると、

・私立大学受験の場合、難関私立になるほど学力の高い学生が出願する傾向があります。

 

更に募集定員が少ないので結果的に高倍率となり、合格ラインが上がってしまう可能性が見られます。

共通テスト利用は受験科目数が多くなること。とくに国公立大学では5〜6科目を指定されることが多いです。

私立大学の一般選抜では3科目受験が基本となっているため、苦手科目がある方や準備期間が少ない方は一般選抜の方が有利になることがあります。

出願時期が早くなること。共通テスト利用入試の出願期間は大学によって異なります。共通テスト実施前に出願する場合もあるので志望校の決定を急ぐ必要も出てきます。

 

共通テスト利用で受験する場合は、大学ごとの出願スケジュールをこれも必ず募集要項や各大学のHP等で把握しておきましょう。

2023年度共通テストについて

さてここからは、2023年度共通テストについて見ていきましょう。

共通テストの志願者数

今年の共通テスト(2023年1/14・15実施)の志願者数は、51万2,581人と昨年から1万8千人ほど減少しています。前年比97%です。

大学入試センター発表によると、現卒別の内訳は、現役志願者数43万6,873人(前年比97%)で、志願者全体に占める現役生の割合は85%と過去最高でした。高校卒業見込者や18歳人口の減少により共通テストの志願者数は減少傾向が見られますが、現役志願率(高校卒業見込者で共通テストに出願した者の割合)は約45%と高い水準です。一方、既卒生等の志願者は前年比93%となりました。

 

大学入試はここ数年で競争緩和が大きく進んでおり、既卒生志願者は減少しています。例年以上に現役生中心の入試となっている様子が見られます。詳しくは下記リンクからどうぞ。

独立行政法人 大学入試センター 令和5年度試験

共通テストの出題傾向は?

今回は文系教科(英国社)について確認していきます。

「英語」は”速読速解”と”情報処理力”

◇リーディング

昨年同様の難易度と問題傾向が見られるようです。ただ昨年と同じく、短時間で多くの情報を読み取り、処理していく速読速解の能力が必須となるようです。英語の基礎力はもちろんですが、読解力を身に着ける練習を重ねていくことが求められます。読解に関しては、一朝一夕に定着するものではないので、早い時期からの練習が必須です。

◇リスニング

出題形式や問題分量事態は大きな変化は見られませんでした。しかし、与えられた資料やデータをもとに聞き取った情報から解答を導き出す情報処理能力が求められるものです。処理能力とスピードが要求される出題です。

「国語」は複数の文章や資料からの情報の整理と統合

「国語」も昨年に続き、『同一のテーマ・引用文に関する複数の文章』や『授業の会話場面や生徒の学習活動を想定した出題』もそれぞれの大問で見られました。これは、一つの文章から読み解く能力は習得した上で、複数の文章を比較し、そこからの情報を整理・統合する能力、そして当然スピードが要求されます。

まずは基本として一つの文章の読解力を徹底的に鍛えておき、更にこれらの傾向に対応できるような演習を普段から取り入れてみて下さい。

「社会」もやはり”情報処理力”

◇地理歴史

昨年同様に資料問題が多い傾向が見られます。更に扱う資料の数が増加していたため、資料読解力を求められます。「日本史」では資料・史料の読解を必要とする問題が全体の半数を占めていました。「世界史」では前回と比較して、資料としての地図の数は減ったものの、文献や統計資料の数や会話文の分量の増加が見られました。また年代整序の出題もありました。

◇公民

現代社会での問題である「子どもの貧困」「親ガチャ」「少年法」などの題材が見られました。教科書はもちろん資料集やニュースなどのチェックも普段から取り入れた学習を実践してくことが必要です。

 

ここまでで皆さんにはそれとなく分かってきたことと思いますが、「読解力・判断・思考力」が問われますが、まずは、知識問題に対応できる基礎的な学習の定着をベースにしておく必要があります。その上で、グラフや表の読み取りなどの情報処理能力を含め、問題演習の量をこなすことが高得点への鍵となります。

令和5年度入試問題

百聞は一見に如かず。とりあえずどのような問題なのかは、高1・2生の皆さんも自分の目で確認してみて下さい。

 

「令和5年度 共通テスト 出題教科・科目の出題方法等 」(独立行政法人 大学入試センター)

「令和5年度 共通テスト 問題・解答」(産経新聞)

「令和5年度 共通テスト 平均点(中間集計)」(独立行政法人 大学入試センター)

早目のスタートが選択肢を広げます!

準備は早めが一番の近道です。受験学年でスタートするより、高1、高2で始めた方が有利なのは明らかです。定期テスト対策で満足することなく、将来を見据えた学習活動を始めてみて下さい。

 

先んずれば人を制す

 

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【この記事を書いた人】
西村 仁志
【略歴】
公立大学文学部卒業。学生時代は家庭教師。卒業後は公立学校教員として勤務。
その後、塾講師として20年以上経験あり。現在は個別ena河辺校長。
都立立川国際中、私立明大中野八王子中などに合格実績を出し、高校・大学受験においても都立八王子東・国分寺高校や明治大学、法政大学などGMARCH合格者を輩出。
これまでの経験を踏まえ役に立つ情報を楽しく発信していきます。

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