こんにちは。個別教師Campライターの工藤です。本日2023年2月21日、都立高校の一般入試が行われました。まずは受験生のみなさん、お疲れ様でした。今は胸中に様々な思いがあると思いますが、しっかりとここまで勉強してきた自分、入試を受けた自分を褒めてあげましょう。
そして現中学2年生(新中学3年生)のみなさん、いよいよ入試まで1年を(ほぼ)切ったことになります。ここからの勉強をさらに頑張りましょう。
今回は都立高校の共通問題について、その入試問題傾向などを見ていきたいと思います。他の記事でも随時更新してまいりますので、一緒に見ていきましょう。
2023年度都立高校一般入試 国語
漢字問題は確実に得点したいところですね。大問1(読み)では「河畔(かはん)」がやや難しいでしょうか。他の漢字(伸びる・掛ける・慕って・狩猟)はそれほど難しくはないでしょう。大問2(書き)では「著しく(いちじるしく)」がやや難しいですが、それ以外(投げる・宇宙・永遠・秒)は書けたと思います。「永遠」を「延々」としたり、「永」を「水」にしたりしてはいませんか。
大問3の小説は主人公が大人で、読んでいくと主人公の『私』の故郷や家族(主に母)との関係にも様々なことがあったことがうかがい知れる文章になっており、少し難しいと感じた人もいるかもしれませんね。問1は文章表現について正しく述べたものを選ぶ問題でしたが、「いつまで続くのか分からないくらい、長い拍手」とあり、その長さに注目すればほぼ2択になり、その2択もさほど難しい問題ではありませんでした。問2は主人公の『私』の心情に関する設問でしたが、段落が変わり場面も変わっているので、見るべきポイントは傍線部を含む段落を見れば良いことが分かります。問3は問1・2に比べると難しい問題でした。傍線部直前で「そんな生活が嫌で、私はこの町を離れてリセットしようとしていたのだ。」とあること、傍線部の後では「こんなにも色んな人と、この町で出会ったのだ。…」とあるので、私の視点はあくまで「自分の人生」に向いていることが分かります。また、「この町」に対しても肯定的な印象を持ったことが読み取れますね。問4では傍線部より少し前の会話と地の文にて「まだこれから先を見据えているように思える。」や「『まだまだ人生これからですね。』」とあるので、ここが根拠になります。不正解の選択肢がかなり的外れな内容だったので、消去法でも十分解けるでしょう。問5も「私」の心情表現ですが、直前に気持ちを直接表す表現が多く、選択肢は絞りやすかったのではないかと思います。
大問4は説明文で、フェイクニュースや人工知能(AI)などを引き合いに出しながら、情報と行動、そしてウェルビーイングの関係性について述べた文章になります。アナログ(連続)とデジタル(離散)の関係についても触れられており、よくあるテーマのようでいてやや難しい内容だったのではないでしょうか。問1は傍線部の理由に関する問題です。傍線部に「そうだとすれば」と指示語が含まれていますので、傍線部の理由は前を読めばわかることになります。ここでは具体例(フェイクニュース)に限らず、情報と行動の関係に関して述べていることを見る必要があります。問2は傍線部の言い換えを選ぶ問題でした。傍線部に「いずれにせよ」とあり、筆者が何かについて複数あげており、その「いずれにおいても」当てはまると考えられます。選択肢はすぐ2択に絞れる内容でした。問3は段落の役割を問う問題でした。第八段では「はたして~」という言葉を含む文が2つもあり、新たな視点や疑問を提示をしていると考えられます。段落の構成を見るときは、その前後と比較して論の流れを考えましょう。問4はアナログ性とデジタル情報に関する話が絡み、やや難しいところではあります。「生物的(人間的)=アナログ性」「電脳空間→デジタル性」と二項対立的に考えれば、根拠をつかむことが出来ると思います。問5は定番の200字作文でしたが、情報社会での生き方を問われました。推薦入試などの勉強をしてきた人達にとっては、小論文などでも見かける内容だったのではないでしょうか。筆者の意見が比較的明確だったので、そこに合わせつつ書くことができていると望ましいです。
大問5は枕草子と源氏物語についての対談と文章、および原文と現代語訳という構成でした。漢文ではなかったので社会の歴史で習った知識が多少活かせたのではないでしょうか。対談の文章が比較的くだけていて、頭の中で想像することが大事でした。問1は助詞の意味・用法に関する問題でした。形容動詞の活用語尾などが正しく理解できているかが重要です。問2は発言の対談における役割の問題でした。その発言の前後の会話と比較して見てみましょう。問3は現代仮名遣いに関する問題で、簡単だったと思います。確実に得点したい設問です。問4は原文の傍線部に相当する現代語訳を選ぶ問題ですが、ここは丹念に原文と現代語訳を見比べましょう。「ここは間違いない」という一か所を見つけると容易に解けると思います。傍線部の「いみじう」もよくある古文単語なので、そちらからでも解けたでしょう。問5は二つの文章における説明の違いについて問われています。Aの対談の文章では『源氏物語』に言及している箇所は分かりやすいので、Aでの説明はつかみやすかったと思います。Bの文章では『枕草子』と『源氏物語』が対比されつつ話が展開されるので、Bでの説明を正しくつかめたかどうかが成否の分かれ目と言えそうです。
2023年度都立高校一般入試 数学
大問1は小問集合でした。問1~問6の計算問題は過去問と解法は変わりませんでした。やや数字が面倒くさく、分数が出てくることもあったので少しだけ時間がかかったかもしれません。問7の確率の問題も、よくある問題パターンだったと思います。問8の角度の問題は見かけの文章量は多いですが、要は同じ弧の円周角は同じ角度になるということ、直径からの円周角が90度になることを使う問題でした。円と角度の問題なので、円周角に注目することは想像しやすかったでしょう。問9の作図は「円Oの周上にあり、直線ℓとの距離が最も長くなる点P」ということで、言い換えをしてあげる必要がありました。ただ、図としてのイメージはしやすかったと思います。
大問2は平面図形を題材に、数と式の証明をしていく問題でした。問1は平行線と比の問題や中点連結定理などでよく見る形であることに気付くことが大切です。問2も定番の問題でしたが、a^2-b^2=(a+b)(a-b)の因数分解が入ることと、問1の発想を活かすことが出来ればしっかり得点できたと思います。
大問3は一次関数と平面図形の問題でした。一次関数になったことで、問1はより簡単に解けたのではないでしょうか。代入して確実に素早く求めましょう。問2は少し聞かれ方が特殊でしたが、点Bおよび直線ℓのy切片の座標は固定であることをまずは意識し、座標を確認しておきましょう。点Bは(-2,0)、y切片の点を点Cとすると、点C(0,1)となります。点Pからy軸に平行に引いた直線とx軸の交点を点Dとすると、△OBCと△DBPは相似の関係にありますので、そこから点Pの座標が計算でき、直線mの式も求められます。問3はオーソドックスに解くなら、求めたい点Pのx座標を文字で置き、直線ℓの関数に代入してy座標も表します。そして、点Qは点Pのx座標を負にした形になりますので、主要な点を文字で置くことができます。あとは問題の設定に従い、方程式を立てていきましょう。
大問4は平面図形の問題でした。問1は台形の上底と下底の平行、および仮定で与えられている平行の条件から角度を移していき、最終的に△APDの内角の和から引く形で角ADPを表しましょう。問2の証明問題については解答が公開されているので割愛しますが、2つの角が等しいことで証明しており、流れ自体は単純な問題でした。
大問5は正四面体に関する問題でした。点の移動も絡んできて複雑な問題でしたが、基本的に問1を得点することが大事になってきます。MP+MQの和が最も短くなるということで、最短距離の問題=平面図形における直線の関係、であることに気付けたでしょうか。あとは展開図を書き、30度・60度・90度の直角三角形を利用すれば良いでしょう。
工藤
【略歴】
自らも個別指導塾に通い、私立中・国公立大に合格。個別指導塾の講師として働き、就職。個別指導塾の校長を務め、現在は個別教師Camp校長。個別指導一筋で8年間指導。
都立南多摩中、区立九段中、私立桐朋中、明大中野八王子中など、高校・大学受験でも都立国分寺高校、上智大学、法政大学などに合格者を輩出。
指導経験を活かして、みなさんに有益な情報を発信します。