こんにちは、個別教師Campライターの後藤です。
昨日2月21日(月)は、令和4年(2022年)の都立高校の入試日でした。天候には恵まれましたが、人身事故の影響で交通機関の運行停止及び大幅な遅延が生じたため、都立高校182校のうち、共通問題を実施する170校で学力検査の開始時間を1時間繰り下げることになりました。到着が遅れてしまって焦った子も、試験開始まで長時間待機することで消耗した子もいたと思います。みなさんが悔いなく試験を終えられたことを祈るばかりです。
合格発表は3月1日(火)です。約2週間落ち着かない日々を過ごすことと思いますが、中学校で仲間たちと過ごす日々も残りわずかです。残りの学校生活も充実させて過ごしましょう!
さて、本日は昨日の令和4年(2022年)都立高校学力検査(共通問題)では「どんな問題が出題されたのか」、「例年と比べて難易度や出題傾向は違ったのか」など分析していきたいと思います。
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令和4年(2022年)都立高校共通問題入試の分析速報 国語
大問1、2は漢字の読み取り、書き取りが5問ずつ出題されました。読み取りでは「郷土資料館の学芸員から話を伺い、・・」「麦茶を冷やすために氷を砕いて、・・」など、前後の文章からも推測しやすい漢字が多かったと思います。書き取りも同様に間違いやすい漢字の出題は少なく、強いて言えば(5)の「園児たちのスコやかな寝顔」は、迷った受験生もいるのでは・・?といったところです。
大問3は村山由佳著「雪のなまえ」からの出題でした。世代の異なる登場人物が出てくることで、せりふや描写に訛りが入ってきていますが、主人公である雪は小学5年生に設定されており、地の文は現代語であることからも、特段難易度が上がった印象は受けませんでした。書籍としては2020年12月出版ということで、比較的新しい作品からの出題となりました。
大問4は大須賀節雄著「思考を科学する」からの出題となり、問5の200字作文テーマは文章をふまえて「コンピュータ化できない人間の考え方」について自分の意見を具体的な体験や見聞を含めて書くというものでした。筆者の述べる「脱既存概念の考え方」を正しく解釈し、それに対して自分の意見を述べられたかがポイントです。「ソフトウェア」と「ハードウェア」の比喩的な意味、言葉の定義などを丁寧に追っていく必要があり、やや理解に時間のかかった受験生も多かったのではないかと思われます。人工知能や、知識情報処理研究の第一人者である筆者による、2016年出版の書籍からの出題でした。
大問5は井上靖「西行・山家集」の一部、白洲正子、目崎徳衛著「西行の漂泊と無常」、同じく白洲正子「西行」の3つの文章を横断して、平安時代末期の歌人・西行と平安時代初期の歌人・在原業平について読解していく構成となりました。3つの文章というのがボリュームが多く感じますが、設問内容そのものはこれまでと大きく変わりはありません。丁寧に選択肢を検討していくことで、十分に得点できたものと思われます。問5の文法問題が、「の」の識別ということでやや分かりにくいと感じたかなというところです。
令和4年(2022年)都立高校共通問題入試の分析速報 数学
大問1は例年通り、独立小問集合題となっていました。〔問1〕~〔問6〕までの計算問題は落とさず得点したいところです。頻出である確率を求める問題はなく、データの活用から中央値を求める問題が1題出題されています。大問2~大問5も出題傾向は大きく変わらなかったと思います。問8の平面図形の角度の問題では、弧の長さが2倍になると円周角も2倍になるという知識が必要なのがやや珍しいように思いますが、教科書でも必ず説明のある公式ですので、確実に得点したいところです。
大問2の証明問題では、XとYのうち、どちらか1つ求められていれば2点、2つ求められていれば4点と考えられます。X-Yの式を変形し、X-Y=11(9a+b)が求められていれば2点、結論を導くための証明ができていれば1点と思われます。大問4の合同な図形の証明に関しても、3つの条件のうち1つ書けていれば2点、2つ書ければ4点、3つ書ければ6点になり、最後合同条件ができていれば1点と思われます。記述では適宜、部分点や誤字脱字による減点もあるので、自分が思った通り落ち着いて書けているかどうかも大切ですね。
大問3は二次関数の問題でした。最大値・最小値の問題や2点を通る一次関数の導出など、オーソドックスな問題でした。問3は二次関数の線分PQとの交点が、線分AOと線分PQとの交点Rとは一致しない点については注意が必要です。しかし、いつも通り求めたい点Pのx座標を文字で置いて点Pのy座標や点Qの座標を表現することは同じです。平行線が多いことや3;1という比が与えられていることから、線分AOを延長し相似な三角形を作って考えると、比例式から方程式に持ち込むことができます。
大問4は正三角形2個を隣接させた平行四辺形の問題です。問1は正三角形の1つの内角が60°であることから角度を順番に表していけば解けるため、例年並みの問題です。問2の証明は三角形の合同でした。相似と思い込んで解いていないことを願います。いくつか解法パターンがあるかと思いますが、先に別な三角形の合同を示すことで、三辺が等しいことを示すのが楽ではないかと思います。
大問5はこれまで通り立体の問題ですが、点の移動があるというところがやや面倒です。しかし、多くの生徒にとって得点すべきは問1です。問1では秒数指定がありますので、実質的には点の移動を考慮しなくとも解くことができる問題です。周の長さを求めるために各辺を別々に求めること、垂線を引いて三平方の定理を用いること、直角二等辺三角形の辺の比を使えばすぐ解くことができます。
令和4年(2022年)都立高校共通問題入試の分析速報 英語
受験生の話では機材トラブルでリスニング試験が実施できなかった学校もあったようです。筆記試験では出題形式に大きく変わりはありませんでしたが、大問2では「高校生のRikuと留学生Tonyが海外のある大学のオンライン講義に参加しようとする」といった場面設定がされており、オンライン授業が普及した昨今の情勢が反映されていたように思います。
とはいえ設問自体は特に難しいこともなく、会話の前後と与えられた資料を照らし合わせて読み取れば正答できる問題だったと思います。英作文のテーマは簡潔に言うと「街に公園があることで良い点は何か」といったものです。本文中ではTonyの意見として「公園は人々が意思の疎通を図るのによい場所だ」と述べられていますので、同じ観点からでも内容まで全く同じにするのではなく、自分の意見が書けていると高得点につながります。時間に追われていると思わぬところでスペルミスをしているかもしれませんが、スペルミスによる減点はどの学校でもそう大きくなく、また同じ誤りを繰り返している場合も全体で何点減点というような配慮がなされると考えられます。
大問4・5の長文も「文章の流れを問う問題」や「文章の内容を踏まえた別な文章の空欄補充」など、これまでにも出題された形式の問題たちであり、目新しさはないかなと思います。
令和4年(2022年)都立高校共通問題入試の分析速報 社会
受験生の話を少し聞いた限りでは、「社会が難しかった!」という声が一番多かったです。もちろん受験生全員の声ではありませんので正しいことはわかりませんが・・。
大問構成は例年通り、大問1は3分野の基礎問題、大問2は世界地理、大問3は日本地理、大問4が歴史、大問5が公民、そして大問6が3分野総合問題となっています。世界地理では、これまで産業から見た世界各国を問う問題が多かったですが、
海域と国を絡めた問いが出題されています。同じく日本地理でも、海岸線の距離と産業の歴史から地域を選択する問いなど、これまでと視点を変えた問題が特徴的でした。大問6では、首都や都市の地理的特徴を絡めた問題で、改定された指導要領の「思考力」を問う実践的な問題だったと思います。これからの受験生は産業の特徴だけでなく、地形でも山脈や河川だけでなく総合的に確認しておくことや、資料から読み取れる情報を知識と結びつけて考える練習が必要だと考えられます。
とはいえ「鑑真」「地方裁判所」など、単純な知識で解ける問題もありました。世界地理関連では「釜山」「ドバイ」「ロッテルダム」など、都市名でしたが正しく国名を思い浮かべることができたかが重要です。
令和4年(2022年)都立高校共通問題入試の分析速報 理科
今年度の理科は、大問5に化学反応式を書く問題と、大問6で図に矢印を書き入れる問題はありましたが、それ以外はすべてマーク問題となっており、文章記述問題はありませんでした。部分点が少ないため、1つのミスが合否を分ける可能性が大きくなることも・・。
ただ、出題傾向としては大問1、2が全分野からの小問集合、大問3は地学分野から岩石や地層に関する問題、大問4は生物分野から植物の花のつくりと遺伝に関する問題、大問5は化学分野からイオンの性質、大問6が物理分野から物体の運動といった形で例年通りだと思われます。
頻出単元をしっかり対策できていれば、いつも通り焦らずできたのではないでしょうか。化学反応式を書く問題では、どの部分にどの化学式を書くべきか指示があるため、誤った部分に書いてしまうと不可になると思われます。また、小文字であるべき部分、大文字であるべき部分を誤ってしまった場合も不可になると思われます。
令和4年(2022年)都立高校共通問題入試 結果を待とう!
ここに書いてあることがすべてではありませんし、結果は発表までわかりません。もし上手くいかなかったとしても落ち込みすぎず、発表を待ちましょう!とにかく都立高受験生のみなさん、長い間本当にお疲れ様でした!
そしてもう一つ大事なことは、ここで勉強が終わりになるわけではないということです。大学受験を考えている方も多くおられると思います。また、「高校受験では一般入試で大変だったから、大学受験は推薦入試でいきたいなあ」という人もいるかもしれませんが、大学受験の推薦入試は「高校3年間」の成績が見られます。継続して高得点をとることが重要になってきます。受験勉強で培った学習習慣を絶やさないように、オンライン個別指導の個別教師Campでは、高校生向けの学習プランもご用意しています。
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後藤幸奈
【略歴】
個別ena校長を務め、中学受験では都立武蔵・三鷹・富士・立川国際・南多摩中、私立日大二中、明大中野八王子中、高校・大学受験では都立国立・立川・八王子東・国分寺高校、明治大学、法政大学、埼玉県立大学など多くの合格者を輩出。
高校時代は日本とアメリカで過ごし、ダブルディプロマを取得。
英語教育や帰国生入試を中心に幅広く受験や学習情報を発信していきます。