こんにちは、個別教師Campライターの深川です。今回は勉強嫌いにしない方法を書いていきます。現在勉強が嫌いなお子さん向けというよりは、未就園児から小学校低学年のお子さん向けの内容です。
―勉強と遊びの違い―
勉強が大好きというお子さんはほんの一部だと思います。例え、進学塾に通っていたとしても、塾の先生や親御さんにお尻を叩かれながら勉強をしているというケースがほとんどでしょう。自分から進んで勉強しているように見えても、本心では、友だちに負けたくないから、親に叱られたくないから、あるいは、何とか志望校に受かりたいからなどという理由がバックグラウンドに潜んでいて、好きだから、楽しいからと思いながら勉強をするお子さんは非常に稀でしょう。
ここで、質問です。子どもは何でこんなに勉強が嫌いなのでしょうか。逆に言えば、子どもは何でこんなに遊ぶことが好きなのでしょうか。
今のお子さんのほとんどがゲーム機を持っていて、ゲームとは縁が切れない生活を送っています。ゲームを楽しいと思うのには理由があります。心理学的に言えば、ゲームは「アフォーダンス」で満ち溢れているからです。
アフォーダンスとは、動物(人間)と物の間にある行為についての関係性を表す言葉です。少し難しいですね。簡単に言えば、「つい、やってみたくなる」ということでしょう。ゲームの中には「つい、やってみたくなる」仕掛けがたくさんあります。ゲームは楽しいよ、と教えられなくても子ども(大人)もゲームにはまってしまうわけがここにあります。ゲーム以外の遊びだって同様です。球技が好きな子どもの近くにボールがあれば、「つい、蹴っ飛ばしてみたくなる」のです。
―勉強を嫌いにしている一番の原因は?―
さて、遊びと勉強、仕組みが違うことはわかりました。仕組みが違うものに同じアプローチをしても仕方がないでしょう。それでは、どうすれば良いのでしょうか。
私は常々感じているのですが、勉強が面白くないものだと子どもに強烈に認識させているのは実は大人なのです。皆さんもこのようなセリフを口にしませんか?「遊んでばかりいないで勉強しなさい。」です。この言い方をされると勉強=mustになります。Mustを好む人は大人にだって少ないはずです。おまけに勉強と遊びを比較していますから、子どもの頭の中には、勉強=must、遊び=禁じられたからこそ、やってみたくなるもの、ということが刷り込まれていきます。ますます勉強が嫌いになるでしょう。
ちょっと余談になりますが、「ピンクのライオンを想像しないでください。」と言われたら皆さまどうなりますか?想像しないようにしようとすればするほど、ピンクのライオンが思い浮かんでくるのではないでしょうか。これも心理学で良く言われることなのですが、言語はイメージ化されてしまうのです。ですから、「ゲームばかりしないで・・・」と言った途端に子どもの頭の中にはゲームがイメージされているわけです。これでは悪循環です。よってたかって子どもを勉強嫌いにしているのは、大人なのです。
―勉強嫌いにしないために―
では、勉強を好きにさせるにはどうしたら良いのでしょうか。答えは簡単です。勉強も遊びも区別をしないことです。
例えば、未就園児の子に向かって「さあ、お勉強しますよ!」とは言わないものです。数が数えられるのであれば、「今日はお友達が2人来たね、自分と合わせて何人かな?」などと言って、「ひとり、ふたり、さんにん」などと子どもと一緒に指を折って数えてみるのです。幼稚園に上がるくらいになったら、「クッキーをみんなに分けてね」などど、8枚のクッキーを渡せば、4人家族なら1人2枚ずつになるように子どもはきちんと配分するでしょう。できたらほめてあげてください。
また、ティッシュの空き箱などを用意して、「この1番目の箱に入れると四角い物が丸くなるんだよ。2番目の箱は色を変える箱だよ。赤は青に、青は黄色になるよ。」とルールを説明して、ミニトマトを見せます。「さあ、ミニトマト君の冒険の始まり!」と掛け声をかけてミニトマトを箱に入れていきます。もちろん、ミニトマトの形も色も変わりませんが、「どんなミニトマト君になったかな?」と子どもに聞いてみてください。「四角くて青いトマト!」と答えてくれるはずです。四角くて青いトマト君なんて面白いよねと親子で笑えばよいのです。これはブラックボックスと言って、中学受験にも出されます。もちろん、もっと複雑になりますが。
こんな風に「遊んでるのか、何をしているのか分からない」ようにすれば、子どもは勉強嫌いにはなりません。学校で計算をしていても、理科の実験をしていても、それが勉強だという意識は持たないはずです。むしろ、楽しいと思うはずです。学校の勉強がスタートする前に大人がひと手間かけることで、勉強嫌いが防げます。お兄ちゃんやお姉ちゃんで失敗しちゃったという親御さん、ぜひ、下のお子さんで試してみてください!
深川佐知子
【略歴】
指導歴30年以上のベテラン。現在は個別ena校長を務め、大学受験では早稲田大学や東京薬科大学、高校では立川・国分寺・中大附属高校などに合格者を輩出。自身の子供も中学受験を経験し駒場東邦中学に進学後、東京大学に合格した。どの学年で、どんな勉強をしたらよいのか、など、教育者と保護者の視点から情報を発信していきます。