こんにちは、個別教師Campライターの西村です。先週(10/28)は中学生の「計算ミスをなくす方法(中学生編)」として述べさせてもらいました。そして今回は「百ます計算活用方法(小学生編)」として、計算演習方法をメインに、その効果も合わせて一緒に考えてみようと思います。今回もお付き合いのほどよろしくお願いします。
「計算」の重要性
小学校での「算数」は、その後中高に進学していく上での一番の基礎となります。ご承知の通り、「数学」になると中学校では「国語」「英語」と並んで“主要教科”として成績の良し悪しのものさしになります。
「国語」は母国語として大切です。「英語」も“グローバル化”や“多文化共生社会”が声高に叫ばれる中で、その必要性も分かります。「算数(数学)」はどうなのか。少し余談になるかも知れませんが(いつも余談が多い気もしますが)「算数学習」について見てみましょう。
数の歴史と計算
「数」が生まれたのは、いつのことか明確ではありませんが、太古の昔、人間が獲物を数えたり、物々交換の必要から生まれたのだろうことは容易に想像できるかと思います。
さらに数字の誕生については、約6000年前のメソポタミア地方で発明されたと言われます。これは「くさびの形」をしていたので「くさび形文字」と言われますね。紀元前にはすでに1~9のアラビア数字が使われ、「0」は7世紀初め頃に誕生し、世界中に広まったようです。そして計算で使う記号「+」「-」「×」「÷」は15世紀から17世紀にできたようです。
計算とは?
私たちの日常では、ものの数量を正確に数える必要な場面は実に多いですね。計算は普段の生活で必ずと言って使うものです。
しかし、ただ単に数量を表すためだけにある訳でもありません。計算はルールに従って答えを導きます。その過程で脳の活性化が見られることと、計算をすることで脳の前頭前野が鍛えられるとの調査結果もあるようです。ルールに従って解いていくということは、論理性を身に着けるためにはまず第一に必要なことなのです。そのスタートは計算と言っても過言ではない気がします。
さらに「算数(数学)」の計算に着目すると、「算数」のみならず、「理科」においても化学分野の質量や密度で計算は必要です、また物理分野でも速度や仕事量などで、やはり計算は必須となりますね。「計算」を正確に素早く実行できるということは、理系教科に於いては基礎中の基礎です。
また数式の順序を考えていくので、論理性を身に着けていくことにも必要な要素となりえます。“たかが計算”と無視できないわけです。では次に本題の計算の練習方法について一例を挙げてみていきましょう。
「百ます計算」を活用してみましょう
さてさて、本題です。
計算の練習と言えば、ほとんどの小学生が宿題を中心に取り組んでくれている「計算ドリル」がありますね。しかし敢えて今回は『百ます計算』を取り上げます。これは多くの方がご存知だと思いますが、縦10マス×横10マスの表があり、左側と上部にそれぞれ0から9までの数字をランダムに配置し、それぞれが交差するマスに答えを書くという計算方法です。答えを入れるマスが100個のマスなので「百ます計算」と言います。
学校でも取り入れているところもあるようで、久しく計算演習の定番となっています。
①百ます計算の取り組み方
では早速取り組んでみましょう。やり方としては、一定期間同じ問題を解き、正答率とスピードアップを狙うもの。これがベーシックな利用法だと思います。
◇百ます計算問題の一例◇
①図の左端と冗談の水色の欄に、0~9の数字をランダムに並べる
②左上端(黄色の欄)に計算記号を入れると、この問題の計算法を指定できます。
③空欄をタテでもヨコでも計算していく。
方眼紙でもあれば、すぐにでもご家庭でオリジナル百ます計算ドリルができますね。もちろんExcelなどを利用して作成しておくと、好きな時にプリントアウトしてテストできます。
②百ます計算のメリット
ア)コンパクトに多くの計算ができる。
100題の計算問題を式にするとかなりのボリュームになります。苦手な子はその見た目で敬遠しがちです。その点、百ます計算ならコンパクトながらも圧倒的な問題数です。
イ)達成感がはっきりと見える。
マスを埋めていくことで一般的なドリル問題よりも“問題を解き進んでいる”様子が一目瞭然ですから達成感は強く感じられます。
ウ)バリエーションは変幻自在。
左上段の計算記号を変えれば同じ数字の配置でも別の問題に変わります。
エ)タイムアタックでゲーム性を加えましょう。
時間を図るとゲーム性はアップします。しかし初めは一週間は同じ問題でミスに注意して、じっくりと取り組むことも大事です。同じ問題を演習することで数字の組み合わせでできる数を認識させましょう。繰り上がりが苦手な子は、その組み合わせでできる数を毎回計算しています。例えば7と8を足せば15という組み合わせを演習の中で覚えさせるのです。これができると計算力は確実につきます。
③百ます計算のデメリット
ア)文字が雑になりやすい面もある。
これはさもありなんですね。となると、これは、読めない数字は“+5秒”などペナルティルールを作ったり、工夫してみましょう。
イ)100マスの量に圧倒されてしまう。
初めは9ます計算、16ます計算というふうにマス数を減らして実施し、少しずつ自信をつけていく方法もあると思います。
計算力が身に着けば、算数は確実に変わります。計算での不安をなくすことになるからです。さあ、今すぐ試してみませんか。
すべては基礎を固めることから
これはいつも話していると思いますが、スポーツでもゲームでも、もちろん勉強でも基礎が無ければ上達に時間がかかります。上達できないこともあります。だから基礎に時間をかけることは無駄ではないのです。しかしあまり時間をかけると、算数が苦手な子は飽きてしまうかも知れません。だからこそ、短時間で多くの問題を解いていける「百ます計算」は有効だといえるのですね。
そして最後におせっかいを。
焦らずにやること(やらせること)が大切です。
間違いが多いからと言って”怒らない”ことです。
なぜわざわざ計算演習をするのか。
それは苦手な子に実力をつけてもらうためです。
初めからできるならわざわざやることがないでしょう。その点を踏まえて、見守っていただきたいと思います。
今回もお付き合いいただきありがとうございました。疑問や質問などありましたら、どんなことでも結構ですのでお尋ね下さい。
西村 仁志
【略歴】
公立大学文学部卒業。学生時代は家庭教師。卒業後は公立学校教員として勤務。
その後、塾講師として20年以上経験あり。現在は個別ena河辺校長。
都立立川国際中、私立明大中野八王子中などに合格実績を出し、高校・大学受験においても都立八王子東・国分寺高校や明治大学、法政大学などGMARCH合格者を輩出。
これまでの経験を踏まえ役に立つ情報を楽しく発信していきます。